DJ Spinbadの2000年代版メガミックスがついにリリースされた

ポップス、ロック、ヒップホップ、時代を彩ったアメリカの大ヒット曲の数々をメガミックス/マッシュアップする、DJ Spinbadの金字塔的メガミックスシリーズ「Rocks The Casbah 80s Megamix」「80s Megamix Vol.2」「90s Megamix」の最新作、2000年版のメガミックス「Spinbad’s 2000s Megamix」が、ついにMixcloudと公式サイトでリリースされました(現時点では公式サイトでダウンロードも可能です)。

最初の80年代メガミックス「Rocks The Casbah」が発表されたのが1996年、80年代第2弾が2000年、90年代版が2009年、そして00年代版が2018年と、DJ Spinbad的には各年代が終わってから10年弱くらいで振り返るのがちょうど良いという時間感覚になっているようです。2010年代版が聴けるのは2028年くらいか。

このシリーズはアメリカのヒットチャート曲が次々とスクラッチだらけのバトルDJスタイルでキュキュキュキュッとミックスされていくのが一番の聴きどころだと思うのですが、それだけではなくて、曲がリリースされた時代背景やアーティストの人間関係、歌詞の内容などに合わせて、その当時の映画やドラマ、アニメ、ニュース音源などがユーモア巧みに混ぜられていて、音を使ってポップカルチャーそのものをミックスしていくような作品になっています。そこがこのミックスシリーズを特別なものにしているのだろうと思います(この点は特に90年代版が凄い)。

00年代、自分自身はアメリカのヒットチャートを追いかけていたわけでもなく、世間的にも、日本では地上波テレビの音楽番組やCMなどで最新のアメリカのヒットチャート曲に触れる機会が減少して、いわゆる「洋楽」の影響力や市場が縮小した時代だったと思います。その程度の基礎知識でDJ Spinbadの00年代メガミックスを楽しめるかな、と再生する前は不安感があったのですが、実際聴いてみると大半が耳にしたことのある曲ばかりで、さすがDJ Spinbad、自分が分かるくらいだから、アメリカ人なら誰でも一緒に口ずさめるような、ちょうど2018年に振り返って聴いてムズ痒くなるBadな曲しかSpinしてないんだろうな、と感激しました。

STSTKGKG2

MATSUANDTAKEの曲「STSTKGKG2」をBandcampで公開しました。

2017年10月に公開済みの「STSTKGKG」とセットでEP形式にしました。ともにName Your Price(投げ銭形式)でダウンロードできます。

2017年ベストミュージック

2017年に発表された音楽の中から、よく聴いた10作品を選びました。

Nathan Fake – Providence

うねるデジタルシンセに洞窟リバーブ。(Amazon / iTunes)



DJ Seinfeld – Time Spent Away From U

音の粗い感傷的なハウス。ハウスは感傷的で音が粗いのが良い。(Amazon / iTunes)



Karizma – Work It Out

がっちりとゴスペルmeetsハウス。こんな教会なら行ってみたい。(Discogs)



V.A. – Welcome to Paradise (Italian Dream House 89-93)

イタリアのダンスミュージックの軽薄さは本当に深いし尊い。(Amazon / iTunes)



Special Request – Belief System

レイヴ面とアンビエント面、どっちも鋭い。(Amazon / iTunes)



Bola – D.E.G.

IDMがIDMになる前からIDMだった生きる伝説の10年ぶりアルバム。揺るぎない。(Amazon / iTunes)



Jolie Holland & Samantha Parton – Wildflower Blues

元The Be Good Tanyasと現The Be Good Tanyasの共演盤。The Be Good Tanyasはカナダのカントリー/ブルーグラス系の素敵なバンドです。(Amazon / iTunes)



James Holden & The Animal Spirits – The Animal Spirits

シンセの鬼が生バンドを率いてプログレに激突する様子。(Amazon / iTunes)



Richard Dawson – Peasant

イギリスのフォークの人。音楽的に凄いと思って聴いていたら、英語圏の批評筋の人達は歌詞が凄いと騒いでいる。(Amazon / iTunes)



Helena Hauff – Boiler Room x Dekmantel Festival DJ Set

今年は昔ながらのエレクトロを心に持った勢力が頑張ってて嬉しかった。(SoundCloud)



他によく聴いたのは、Jlin『Black Origami』、Actress『AZD』、KiNK『Playground』、Prince & The Revolution『Purple Rain Deluxe [Disc 2]』あたりです。

今年も良い音楽がたくさんありました。良い音楽がたくさんありすぎるので、聴き方が広く浅くにならないようにインプットを制限して、本当に好きな音楽をじっくり聴く時間を持つように心がけてはいるんですけど、それでも聴き足りていないような消化不良感が年々高まり、どうしたものかと思い悩む2017年。年々この傾向が強まってるような気がします。これが生きるということなのかもしれません。