90年代のThe Black Dogの未発表曲やデモ、ライブ音源を大いに聴く
YouTubeに「Black Dog Productions – Live Jam Sessions Vol1 Side A」「Black Dog Productions – Live Jam Sessions Vol1 Side B」という50分前後の動画が2本アップされています。アップロードしているのはYouTubeにPlaidのビデオやらライブ音源やらレア音源やら、なんやらかんやらを大量にアップロードしているThePlaidedという名前の(恐らく)ファンの非公式なアカウント。
いつ、どこで録音されて、どういう経緯で出てきた音源なのか、公開した当人は「私ではなくて(Plaidの)Andyに感謝して」 と書いているだけで、アップされたのが2014年という以外に、正確なことは何もわかりません。ブート盤などでマニア間で出回っているような音源でも無さそうです。タイトルにはLive Jam Sessionsとありますが、ライブ音源やジャム・セッション音源というよりは、デモやアウトテイクをカセットテープに簡単にまとめたもの、という感じの音源集です。
トラックリストは下のとおり。
SideA
psil coysin (spanners demo)
unknown (spanners outake)
rosery pilots (mix2)
unreleased (spanners/ peel session outake)
unreleased
simpleton peel session
unreleased (spanners outake)
unreleased (spanners era)SideB
unreleased ?
unreleased ?
merck (acidmix)
norte route (mix5)
fight the hits (bytes outake)
merck (mix 3)
unreleased (bytes outake)
SideAは『Bytes』(1993年)、SideBは『Spanners』(1995年)の頃の録音をまとめたもののようです。たしかに、どの曲もそれらのアルバムに違和感なく溶け込みそうな質感の曲ばかりです。Side Bの1曲目は、Plaidの97年のシングル『Undoneson』収録の「Spudink」の原型のようにも聴こえます。
他にもThePlaidedさんはThe Black Dog分裂前の3人体勢での最後のライブだという、1995年ストックホルムでのライブ音源なんかもアップしています(ラジオで放送されたものらしい)。最後に入ってる『Spanners』収録の「Chesh」のヒップホップ・バージョンが渋いです。
下の2本の音源は現The Black DogのSoundCloudにアップされているもので、The Black Dogの1997年カナダでのライブ音源です。Plaidの2人が脱退してKen Downieの1人体制になったThe Black Dogが、1997年に200本限定でリリースしたカセットテープ『Live Demo 1997』と同内容のもののようです。
デビュー時代や『Bytes』『Spanners』時代の要素を混ぜ込みつつ、『Music for Short Films (and Adverts)』時代のThe Black Dogが鳴らしていた中近東的なサウンドが多く聴ける音源です。
Ken Downieの1人体制の『Music for Short Films (and Adverts)』(1996年)は軽視されがちなアルバムですけど、短い曲が大量に入ったビート集的な構成といい、テープの回転速度を遅めたようなビートといい、絶妙にくすんだ音質といい、今の感覚で聴くほうがすんなり入って来ますね。出た当時は「なんだこれは?」という感じで、メロディもビートも素晴らしいのに、曲がすぐ終わってしまうのが物足りなかったのですが、今聴くとちょうど良く感じます。今だったらBandcampで売られてそう。大好きなアルバムです。