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2025年ベストミュージック

2025年に発表された音楽の中から、よく聴いた10作品を選びました。

Olana – Chicken On Bike

エチオピア・ノルウェー系のオーストラリア人が、チキン愛を通じて世界連帯を呼びかける歌。エレクトロ・ダンスホールなトラックを手がけているのは、Harvey Sutherland。 カップリング曲では愛用の自転車を盗まれた悲しみが歌われる。(→Bandcamp

Ella Feingold and Charlie Hunter – Different Strokes for Different Folks

2人の最高なギタリストによる競演アルバム。R&B/ネオソウル由来のElla Feingoldと、 8弦ギターで独自のファンクを築いてきたCharlie Hunterによる、最小限な編成での真剣勝負。激シンプルな激ファンク。(→Bandcamp

Evelyne / Masao – Testpattern

Testpatternの人とフランス系ボーカリストによるユニットが、84年頃に制作していた未発表音源集をDark Entries Recordsが発掘リリース。YEN Records(細野晴臣主宰)の流れを汲む、東洋を感じさせるハイセンスな電子音楽でありつつ、DIYパンクのような冷たさも併せ持ってる不思議な作品。(→Bandcamp

Veg – Adrift in Time

東京の3人組バンド。セルフ・プロデュースのデビュー作でこの渋さは信じられない。アメリカの南部的な土臭さと、都会的な洗練が同居してる。来年はライブを見たい。(→Bandcamp

Black Sites – R4

Helena HauffのユニットのTresorからのアルバム。こういう薄汚くて乱暴なテクノが聴きたかった。(→Bandcamp

Ceephax Acid Crew – Slam Zone

全曲がレイヴアンセム。集えよアシッドクルー。(→Bandcamp

Mong Tong – Sun Moon Darkness 明日音

台湾の2人組。80年代に欧州ニューウェーブ周辺の人達が試みていたエスニック志向のファンク・ダブを、エスニックの当事者たちが、気負いなくナチュラルに更新している。(→Bandcamp

きつねのトンプソン – The Fox In Tiger’s Clothing, vol.1: FOX / vol.2: TIGER

木琴・バンジョー・生ベース・ドラムで、ブルーグラスや初期ジャズ、ラグタイムあたりの古いアメリカ音楽をごちゃまぜに演奏する日本のバンド。音楽の楽しい部分が全部詰まってる。(→Official Store / →Spotify

Stereolab – Instant Holograms On Metal Film

Stereolabが復活して、めちゃくちゃStereolabなアルバムをリリースした。それ以上でもそれ以下でもないのが、かえって嬉しい。(→Bandcamp

Kettel – Dubio

オランダのエレクトロニカ系アーティストの新作は、パズルゲーム「Dubio」のサントラ、だけどしっかりした単体のアルバムに昇華されてる。ボールを弾ませるシンプルなゲーム内容に寄り添うアンビエント作品で、ゲーム自体のデザインの良さも印象に残った。(→Bandcamp / →Steam

今年は、やっぱりAIの年だったなと思いますね。
気がつくと、仕事まわりでも身の回りでも、いろいろなものがAIに置き換わり始めています。ただ、自分自身の音楽関連については、今のところまだそこまで置き換わってません。

それでも、音楽制作にAIを使うのはOKなのか、使うとしたらどこに使うのか、どこまでならOKなのか。AIによって作られた音楽をこれからどう聴いていくのか、なぜそこに抵抗があるのか。サンプリングと何が違うのか、素材集と何が違うのか、オマージュと何が違うのか。絵は?写真は?動画は? そういうことを、今年はずっと考えてました。

もっとも、考えている余裕があるほど状況はゆっくり進んでなくて、とんでもない速度でAIは広がっていて、「使うか使わないか」みたいな話は、もうとっくに終わっている気がします。今は、いかに早く身につけるか、どうすればより効果的に使えるか、という段階に入ってますね。

この文章もAIが書いたものなのかもしれないですし、だったとしたら、それはそれで、そこにはどんな問題が? という感じです。

そんなこんなで、今年よく聴いた曲をガサっとSpotifyにまとめたので、新しい音楽との出会いのきっかけになったら嬉しいです(→Spotify)。

2024年ベストミュージック

2024年に発表された音楽の中から、よく聴いた10作品を選びました。

Beak> – >>>>

今一番好きなバンドの充実した新アルバム。映画「シビル・ウォー」のサントラも良かったGeoff Barrowの脱退は非常に残念ですが、活動は継続するそうで、応援してます。(→Bandcamp

Dabrye – Super-Cassette

デトロイト発のインストゥルメンタル・ヒップホップ、Dabryeの久しぶりのアルバムは元々はテープのみのリリース(今はサブスク等でも聴けるようになってます)。今年はドラムンベース時の名義X-AlteraのEPも出てて、そっちも良かったです。(→Bandcamp

Caribou – Honey

Daphni名義でクラブ・ミュージックをやってるCaribouですが、こっちの本体のほうの名義もガッチリと4つ打ちのクラブ・ミュージック仕様になりました。しかも、とてつもなくポップで華やかです。(→Bandcamp

Seefeel – Everything Squared

真・音響系、Seefeelの完璧な帰還です。PoleのStefan Betkeがマスタリングをやってるのも実はかなり大きな貢献になってるのかも。この浮遊感よ。(→Bandcamp

cosmic collective – EEEEEE

キーボードとベースの2人を中心としたアメリカのジャズ系のグループという程度のことしか分からない。ヒップホップのビート集のような感覚で、気の抜けた短いインスト曲を大量にリリースしてます。(→Bandcamp

Syclops – Black Eye

大ベテランDJ、モーリス・フルトンの、王道のハウスからちょっとはずれた実験的でサイケデリック寄りな名義、という理解でいいのか、Syclops名義での新アルバム。モーリス・フルトンは常にハズレがないですが、特にこの名義の尖り方は最高です。(→Bandcamp

Shoko Igarashi – Onsen Music

山形出身でベルギー在住の人のセカンド・アルバム。もともとはサックス奏者としてバークリー音楽大学を卒業したような背景のある人だそうで、前作は80年代の日本製のOVAのサントラみたいだったところに、今作では歌を中心に据えたポップス的な方向に大きく広がってます。(→Bandcamp

Max Graef – Natural Element

昔Ninja Tuneからちょっと変なブレイク系・ビートダウン系の作品を出してたドイツの人の久々の新アルバムは、90年代UKのインテリジェンス・テクノやトリップ・ホップを思わせる、キラッキラでツルッツルなサイケデリック・ダブ。(→Bandcamp

OMOLOKO – GALA warm-up: OMOLOKO

「Kuduro」というアンゴラ発祥の音楽ジャンルをブラジルのDJがミックスしたもの。自分は全然知らないジャンルだったのですが、いろいろ聴いた中では、このミックスが一番シンプル&現代的で、底抜けに楽しかったです。

Ian Anderson (The Designers Republic) – Herb Sunday 107

デザイナーズ・リパブリックの事務所内で流れているという2000曲のSpotifyプレイリスト。有名な曲/無名な曲、新しい曲/古い曲、元気な曲/静かな曲、それぞれのバランスが絶妙で、しかも全部がいい曲です。しばらくこのプレイリストを流しっぱなしで生きていけそう。(下の埋め込みプレイヤーでは100曲までしか表示しないようなので、リンク先で確認してください。→Spotify

2024年、どこから新しい音楽の情報を入手したらいいのか問題。音楽情報サイトがどんどん力を失っていき、SNSもこの有り様で、これまでの10年~20年の感覚でネットで情報収集をしていたら、すでに有名なアーティストの情報は確実に得られるけど、新しいアーティストの情報にまったく出会えない状態に陥ってしまいそうです。「しまいそう」というか、もうとっくにそうなってますね。

こうなってくると、小さなクラブやライブハウスによく出入りしてる人だったり、個人経営のレコード屋さんだったりの、人生を乗っけて音楽に直接向きあってる人達からの生の情報が一番信頼できる、という当然のところに長い回り道をして戻ってきた感じです。そのこと自体は良い面が多いような気がします。これからは人生を乗っけて音楽に直接向きあっていきたい。

そんなこんなで、よく聴いた曲をガサっとSpotifyにまとめたので、新しい音楽との出会いのきっかけになれば嬉しいです。曲順にたいした意図はないので、シャッフルして聴いてください。

2023年ベストミュージック

2023年に発表された音楽の中から、よく聴いた10作品を選びました。

Everything But The Girl – Fuse

しっかりと現代的なビートに、しっかりと現代的な歌声。ビデオも最高です。

Bawrut – Raqs EP

イタリア出身マドリッド在住の人。いろんな要素がすごく自然にダンストラックの中に混じり合ってます。

Panda Bear & Sonic Boom – Reset in Dub

Adrian Sherwoodによるアルバムまるごとダブ盤。世の中のすべての音楽をAdrian Sherwoodにダブ化してもらうべきでは。

Sonic Youth – Live in Brooklyn 2011

解散直前、アメリカでの最終公演のライブ盤。選曲も演奏も最高。やっぱりソニック・ユースの代わりになるものは無いですね。

Floating Points – Birth4000

生きたベースライン。

James Holden – Imagine This Is A High Dimensional Space Of All Possibilities

90年代レイブパーティのチルアウト・ルームへの憧憬。

PJ Harvey – I Inside the Old Year Dying

新譜を出すごとに、うどんの名店の出汁のように透明に、シンプルになっていってます。

Unknown Mortal Orchestra – V

アトランタのラッパーLil Yachtyの新アルバムでのサイケロック化が素晴らしくて、そこにプロデュースで関わってる中の一人がこのバンドの人。

冬にわかれて – flow

寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎のバンド。余白のある歌と音。

Jungle – Volcano

この音像、特にアホみたいに残響が乗った粗いボーカルの音像に痺れました。アルバム全曲のビデオが公開されていて、これが音楽の力とダンサーの力を100%信頼した内容で全編素晴らしいです。監督のCharlie Di Placidoは、このリストの一番上に貼ったEverything But The Girlの最高のビデオも監督してます。

世の中すっかり「明けた」感じになっていますが、自分は取り残されたまんまになってる気持ちです。Twitterの激動もありましたが、それ以上にBandcampが危機に陥ってしまってる状況が明らかになったのは、非常にショッキングでした。あとはやっぱりAIが大きいですね。音楽の作り方も聴き方も大きく変わることになりそうです。世の中の激変の入り口に立ってるんじゃないかという思いだけは強く高まった2023年でした。

そんなこんなで、よく聴いた曲をガサっとSpotifyにまとめたので、新しい音楽との出会いのきっかけになれば嬉しいです。曲順にはまったく意図はないので、シャッフルして聴いてください。